2020年度大会情報

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大会の概要

下記要領にて2020年度北海道農業経済学会大会を開催いたします。
皆様の多数のご参加をお待ちしております。

詳細は上記PDFもご覧ください。

日程および会場

日程:2020年11月24日(土)[受付開始]12:45 [大会]13:00~17:00

会場:北海道大学農学部総合研究棟1F多目的室(W106)・YouTube Live → フルオンラインに変更

参加費:対面500円(資料代)/オンライン無料

事前申込:必要(11月10日18時締切)

大会シンポジウムテーマ

北海道農業の労働力問題―ポストコロナを見据えて―

日本農業の最大の課題は労働力不足であるといってよい。コロナ禍という未曾有の事態が直撃す ることで、社会的関心も集めることとなった。北海道では、1990 年代以降、家族経営の範疇を超えた規模拡大、法人化の進展など不可逆的な構造変化を受け、雇用労働力への需要が増大する一方、人口減少が進む地域内での労働力調達が困難になることで深刻化してきた。外国人材の受け入れも、域外からの広域的な労働力調達の延長線上にあると考えることができる。

労働力不足に対し、省力化技術の開発など様々な取り組みが行われてきた。大型機械の導入や省力化技術の進展、さらに多頭飼養のための施設導入は、労働生産性を高めてはいるものの、技術革新のみで労働力不足を解決しえないことは明らかである。今後も、技術革新と労働力確保はセットで考えていくべきであろう。

経営形態や作業によって必要とされる労働力も異なる。近年の農業分野での雇用労働力の需給動向においては、常雇のシェア拡大という方向が強調される。しかし、園芸作の収穫労働力に象徴されるとおり、短期集中的な労働力確保も依然として重要である。さらに言えば、労働力不足は単に、個別経営の問題だけではなくなっている。園芸産地における集出荷施設での選果人材と圃場労働力の競合問題は以前から存在したが、近年では、畑作・酪農地帯において、コントラクター事業等、個別経営の作業支援を行うオペレーター人材の確保自体も課題となっている。

以上のように労働力問題は、労働力を供給する地域経済社会の変化から技術革新まで様々な要因が複雑に絡み合い、各経営・各地域によって問題状況も対策も異なっている。従って、北海道に限定したとしても、一点突破で語ることのできない事案である。さらにそこにコロナ禍が人的移動を制限するということで、先行きを不透明にしている状況にある。

道内農業問題に携わる本学会としても、避けては通れない課題であることを鑑み、本シンポジウムでは、このような労働力問題について真正面に取り上げ、可能な限り全体状況を具体的な事例を基に議論するために、第一線で実態把握に取り組む研究者と、人材派遣事業で個別経営を支える実務家にご登壇頂くこととした。

第 1 報告の今野聖士氏には、主に野菜産地の季節雇用における労働力確保の課題を中心にご報告頂く。第 2 報告の藤田直聡氏には、畑作での最新技術導入と並進的に進められる作業受委託組織の課題を、そして、第 3 報告の藤田顕士氏には、酪農経営への人材派遣事業からみた道内農業の雇用問題についてご報告頂く。コメンテーターとしては東山寛氏と井上淳生氏にお願いした。東山氏には、個別経営の視点から各事例における雇用労働力確保支援、作業受委託、雇用アウトソーシングの各対策の論点についてご提示頂くことお願いしたい。また、井上氏には、労働力調達と不可分な地域社会との関わりで、雇用労働力人材の確保の課題を、農協等の組織的視点はもとより、地域的な支援課題も含めて論点をご提示頂きたい。これらシンポジストからの情報提供や論点提示を踏まえ、総合討論では、ポストコロナを見据えつつ、避けては通れない労働力問題を乗り越えて、持続的な地域農業・農村の発展を展望するための条件整理を行う。

今回は本学会初の試みとして、三密を避けながらも、従来通り会場にお集まり頂き、ご報告・討論を行うと同時に、オンラインで視聴頂くという「ハイブリッド型」でシンポジウムを開催します。座長はもとより、学会事務局を中心に円滑な運営のため万全な体制を整えて当日に臨みますが、慣れない試みであるため、多少の混乱はご容赦下さい。