2021年度大会情報

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大会の概要

下記要領にて2021年度北海道農業経済学会大会を開催いたします。
皆様の多数のご参加をお待ちしております。

詳細は上記PDFもご覧ください。

日程および会場

日程:2021年11月13日(土)[受付開始]12:45 [大会]13:00~17:00 [懇親会]18:00~19:00

会場:オンライン(Zoom ミーティング)※大会シンポジウム・懇親会とも

参加費:会員2,000円/非会員3,000円

事前申込:必要(11月10日18時締切)

大会シンポジウムテーマ

北海道の農水産業における新型コロナ危機の性格-連続性と不連続性の視角から-

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、直接的には人間の健康と生命を脅かす公衆衛生上の危機をもたらすが、それだけではなく、政府の行う感染対策や消費者・企業・生産者の行動変容によって、経済的・社会的な危機をも生じさせている。本シンポジウムでは、新型コロナの流行に伴う一連の危機を、「新型コロナ危機」と総称する。危機が長期化する中で、経済格差の拡大とそれによって社会的緊張が高まるとともに、政府・政治への不信感も増大しており、危機は社会全般に及んでいる。

フードシステムにおける新型コロナ危機は、主には需給両面のショックという形態で現れている。例えば、需要ショックは、外食・観光など業務用需要の激減・低迷や、新型コロナ危機による景気・消費意欲の減退などで、一方の供給ショックには、出入国規制による外国人労働力の減少や、感染対策・コンテナ滞留などによる商取引・物流の阻害などが挙げられる。新型コロナ危機の特徴は、品目やサプライチェーンの段階、用途(家庭用か業務用か)、地域などによる影響の不均一性(活況と衰退の併存)、ならびに危機の長期化による影響格差の拡大傾向が指摘されている。

北海道の農水産業に関して言えば、都府県と比較して北海道が有している特徴、すなわち業務用需要と外部市場への依存といった原料供給産地、農水産業における労働力不足の相対的な深刻さといった特徴が、新型コロナ危機の様相に影響を及ぼしていると思われる。
日本の農業経済に関わる新型コロナ危機は、すでに多くの学会で議論されている。2021年に入ってからの学会大会シンポジウムテーマを概観すると、日本農業経済学会(2021年3月開催)では、日本と世界の食料・農業・農村の各領域を対象に、新型コロナ危機下で「変わるもの」「変わらないもの」「変えてはいけないもの」を識別しながら論じた。日本フードシステム学会(6月開催)では、フードシステムの川中から川下を対象に、日本のフードシステムが新型コロナ危機をどのように乗り切ったか、その経験を共有するとともに、危機以前の問題と以後の問題、すでに存在していた構造問題への作用という視点に着目した。日本農業市場学会(7月開催)では、ポスト・コロナ社会の食料・農産物市場を見据えて、新型コロナ危機下の貿易・市場問題におけるグローバル化とローカル化の相克と連携を論じた。

新型コロナ危機は、一般的に、従来の社会経済構造を一変させるパラダイム・シフトの観点で論じられることが多い。しかしながら、新型コロナ危機下の変化は一過性のものも多く、不可逆的な変化の場合も全面的な変化ではなく従来のものとの併存にとどまる、新型コロナ危機下のフードシステムの課題は全く新しい性格のものというよりは、従来から存在していた課題が改めて浮き彫りになったという指摘にも注目すべきである。

本シンポジウムの目的は、新型コロナ危機が農水産業と関係するフードシステムに及ぼしている影響の分析を通じて、北海道の農水産業にとって新型コロナ危機がいかなる性格を有するのかを論じることである。

その際、危機の発生前後における問題の連続性と不連続性という視角に着目し、北海道の農水産業のポスト・コロナを展望する。前者の連続性とは、新型コロナ危機以前から存在する問題が危機によって深刻化する事態であるものの、危機終息後には以前の状態へ復帰すると想定される視角である。つまり、連続性は、問題の質は変化せず、その深刻さの程度が可逆的に変化するという概念である。一方、後者の不連続性とは、新型コロナ危機で従来とは異なる質の問題が生じる、あるいは既存の問題が深刻化する結果として不可逆的な変化が起きる事態であり、危機終息後も新型コロナ危機に伴う問題が残存するという視角である。つまり、不連続性は、問題の質的な転換が起きるという概念である。

すでに見たように新型コロナ危機の影響は一様でなく、北海道の農水産業における新型コロナ危機の性格は、連続性か不連続性かといった二元論で論じられないのは明らかである。実際には、連続性と不連続性の双方が濃淡をもって現れ、北海道の農水産業で新型コロナ危機がそのような現象形態となる要因の解明が望まれる。加えて、北海道と都府県との違いに留意し、北海道の農水産業の有する特徴と新型コロナ危機との因果関係にも注目する。よって、各品目やサプライチェーンの各段階、ならびにそれらを取り巻く政策・制度・経済環境などの違いを前提として、多面的に課題へアプローチする必要がある。

第1報告の小池(相原)晴伴氏には、「減反廃止」と新型コロナ危機の観点から北海道における米生産・販売について報告いただく。第2報告の菅原優氏には、畑作中核地帯であるオホーツク地域を対象に畑作・酪農における影響と課題を報告いただく。第3 報告の佐々木貴文氏には、新型コロナ危機による全国的な影響を踏まえつつ、北海道の水産業における影響とその特徴について報告いただく。以上の報告を受け、町智之氏には十勝農業と農業現場の視点から、吉本諭氏にはフードシステムの産業連関分析の視点からコメントいただき、大会シンポジウムのテーマに接近したい。